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(PLM日本語プレスリリース・アーカイブ)

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東北大学工学部および大学院工学研究科が、
3次元CAD「SolidWorks」を1,000セット導入
(2008.4.17)
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〜次の100年に向けて「CAD教室レス」カリキュラム及び62のすべての研究室で
3次元CADを自由に活用できる専門性の高い機械系工学教育に挑戦〜

2007 年に創立百周年を迎えた東北大学が、次の百年に向けて、新しいデジタルエンジニアリング教育への取り組みを開始した。2008 年3 月、東北大学工学部 機械知能・航空工学科は、3 次元CAD「SolidWorks」の教育版を1,000 ライセンス導入した。2008 年10 月から始まる後期カリキュラムに、SolidWorks 利用を組み込んで、機械系専門教育の強化に役立てるとともに、1,000 ライセンスを学内のサーバにインストールして、機械知能・航空工学科の62 あるすべての研究室でも使えるようにする。

機械知能・航空工学科は、東北大学工学部に5 つある学科のひとつ。1 学年は約250 人、主に機械工学の領域を研究する。機械知能・航空工学科の学生は、3 年生以降、62 ある研究室のどれかに所属する。したがって、3 年生以降の講義や実習で出された課題に取り組んだり、卒業研究を進めるときに、各研究室のSolidWorks を利用する計画である。また、大学院修士課程での授業や修士研究にも、研究室のSolidWorks を各自が活用していく。

集合教育用のCAD 教室をあえて設けることなく、「CAD 教室レス」で導入したのは、研究室を中心とした専門教育強化に役立てることが目的であるからだ。東北大学では「これからの百年に何が出来るか?」 が教育のコンセプトであり、「Challenge(挑戦)」、「Creation (創造) 」、「Innovation(革新) 」という3 つのキーワードを基軸に次世代の工学研究開発をリードするような開拓者を育成する為、学生の才能を伸ばす教育に取り組んでいる。

今回の学部へのSolidWorks 大量導入は、大学院工学研究科で「機械工学フロンティア」という授業科目を新設したことが契機になっている。2007 年度の文部科学省が主導する「大学院教育改革支援プログラム」に、東北大学機械系として応募、見事採択を獲得した。採択された提案のひとつが、機械システムの設計と創成に必要な一連のプロセスを体験的に習得する実践的な授業「機械工学フロンティア」の新設である。

大学3 年生のときから3 次元CAD や解析を自主的に使いこなす環境を整えておくことで、修士課程における「機械工学フロンティア」を、より効果的な授業にすることが可能になる。そして、学部に在籍しているうちに、機械と部品、部品と図面などの関係を深く理解させておくには、3 次元CAD の採用が最適であると判断したのである。

「伸びる学生を伸ばし、さらに上を目指す学生を支援するのが大学の使命です。3 次元CAD 導入のねらいも、ここにあります」と、東北大学大学院 工学研究科 機械システムデザイン工学専攻 山中将(まさし)准教授は語る。

また、東北大学大学院工学研究科では、2001 年3 月から、大学の付属施設「創造工学センター」で、SolidWorks を活用したデジタルエンジニアリング教育を行ってきた。この「創造工学研修」の授業は、工学部1 年生が対象の選択授業だが、3 次元設計に始まり、解析による設計の最適化、樹脂造形による試作、負荷試験による評価までを一貫して行う実践的な授業として大きな成果をあげてきた。さらに、仙台市との連携による「こども科学キャンパス」等の体験授業の実施で、地域ものづくり、次世代初中等教育に貢献している。

ソリッドワークス社のDirector of Worldwide Education Marketing、Marie Planchard が東北大学を訪問した際に、「東北大学の学生達はみな創造性に満ちており、高いエンジニアリング能力を備えていると直感しました。それは、私どものツールを活用して計画図作成から設計の概念を理解し、3 次元設計に始まり、解析による設計の最適化、樹脂造形による試作までのプロセスを通して与たえられた課題に対して予想をはるかに上回る革新的な作品を非常に短時間に製作できるに至っているからです。」と述べている。

今回の全研究室へのSolidWorks 導入は、これらの成果をさらに拡大し、専門性を高めた取り組みの実施と、さらなる地域での人材育成・連携の場とすることを狙っている。

最後に、今回の大量導入のみならず、従来からの東北大学への導入から技術支援等に関しては、大塚商会・仙台支店の全面的支援があったからこそ、達成された成果である。

本リリース についての詳しい情報は別紙にてご紹介致します。

以上

株式会社大塚商会について
創業46 年、年商4,000 億円を超える国内最大級のソリューションプロバイダ。オフィスサプライから情報システム構築まで特定のメーカーにとらわれないマルチベンダー対応。全国約280 箇所のサポート拠点から専門エンジニアの派遣、電話サポートやリモートメンテナンスによるセンター対応、2,800 名を超える技術者集団が丁寧に対応。1995 年末にSolidWorks 販売契約を国内第一号として締結。現在までに累計で7 回の世界最優秀代理店表彰を受賞。SolidWorks 認定エンジニアを各拠点に配置し、迅速な対応を幅広いソリューション提案で多くのユーザに支持されている。本社:東京都千代田区飯田2-18-4、代表取締役社長: 大塚 裕司、問い合わせ先:CAD プロモーション部 製造プロモーション課、
URL:http://www.otsuka-shokai.co.jp/products/cad/c3d/solidworks.html

ソリッドワークス・ジャパンについて
ソリッドワークス・ジャパン株式会社 (SolidWorks Japan K.K.) は、1998 年末に (米) ソリッドワークス社の日本法人として設立。2006 年3 月には設計者向け解析ソフトウェアを扱う株式会社コスモスジャパンと合併。現在は、設計者のものづくりを支援する3D CAD 「SolidWorks?」を中核に、検証・解析ソフトウェア「COSMOS?」、及び製品データ管理ソフトウェア「PDMWorks?」の一連の製品群の日本市場における販売・マーケティング、技術サポート及びパートナービジネス開拓及びその技術支援を提供している。

2007 年末現在、日本国内22 社の代理店網を通して累計68,000 ライセンス(商用向け:40,000、教育機関向け:28,000)を、国内11,000 社を超えるユーザに累計出荷し、欧米同様、日本国内でも3DCAD ソフトウェア市場をリードしてきている。特に、昨今では検証・解析をも包含した「SolidWorks Office Premium」は、欧米よりもその販売比率が高く、日本のものづくりでの3DCAD が、単にモデリングだけのツールから脱却し、設計ツールとして必要不可欠な設計検証、データ管理、コミュニケーションまでの一連の設計プロセスを統合環境で効率的に活用する動きが出てきている。さらに、設計データの分散拠点をも考慮したデータ管理へのニーズの高まりから「PDMWorks Enterprise」を2007 年より販売を開始し、初年度だけで50 社以上に納品。

SolidWorks の国内導入業種は多岐に渡り、工作機械・産業設備、精密装置、電子機器、及び機械・電子サプライヤーなど、日本の産業構造を支えている幅広い分野での実績がある。また、2002 年から協賛した高専ロボコンでの実績をベースに、次世代エンジニア育成のための教育カリキュラムへの導入も年々加速しており、現在では全日本学生フォーミュラ大会への協賛、地域ものづくりセミナーや産官学連携プログラムなどを通して数多くの人材育成活動にも参画している。
本社:東京都千代田区、代表取締役社長:飯田晴祥 URL: www.solidworks.co.jp/

ソリッドワークス社 について
SolidWorks は、Dassault Systemes の3D メカニカル設計ソフトウェアのブランドで、設計者のものづくりを支援する3D CAD 「SolidWorks」を中核に、検証・解析ソフトウェア「COSMOS」、及び製品データ管理ソフトウェア「PDMWorks」の一連の製品群で構成されています。また、その開発元であるソリッドワークス社は3D CAD ソフトウェア市場をリードするパイオニアとして、お客様の製品設計チームがより良い製品を開発できるようにするための直感的かつ高性能なWindows 完全準拠のソフトウェアを開発、販売・マーケティングおよび技術サポートを提供しています。2007 年末までの販売実績は、710,000 ライセンス(100,000 社以上に納入)。世界100 ヶ国/300 社を超える販売代理店、1,000 社以上のソリューションパートナーと協調してビジネスを展開。最高経営責任者はJeff Ray、従業員数は700 名。最新のニュース、情報、オンライン デモンストレーションについては同社の Web サイト (www.solidworks.com) をご覧ください。

SolidWorks、PDMWorks はソリッドワークス社の登録商標です。COSMOSWorks はSRAC 社の登録商標、COSMOSMotion、COSMOSFloWorks は同社の商標です。

東北大学100 周年
次の100 年に向けて専門性の高い機械系工学教育への挑戦:
「CAD 教室レス」カリキュラム及び62 のすべての研究室で
3 次元CAD を自由に活用できる環境を実現

東北大学は、日本で3 番目の帝国大学として1907 年に創設された。2007 年に100 周年を迎えた東北大学は、「世界リーディング・ユニバーシティ」を目標に掲げ、次の100年に向けてオリジナリティあふれる様々な挑戦を行っている。

そのひとつが、工学部 機械知能・航空工学科※1における、3 次元CAD「SolidWorks」教育版の1,000 ライセンス一気導入である。しかも、この1,000 ライセンスは、「CAD 教室レス」のカリキュラム教育での利用のみならず、機械知能・航空工学科の中に62 ある研究室のすべてで使えるようにして、研究室での自主的な活動の促進及び強化をし、専門教育を重視した取り組みとして、その成果が注目されるところだ。

◆学部3年生から修士2年生まで4年間一貫してCAD/CAE を利用◆

機械知能・航空工学科は、東北大学工学部に5つある学科のひとつで、主に機械工学の領域を研究する学科である。SolidWorks は、1,000 ライセンスを学内のサーバーにインストールし、ネットワーク経由で各研究室のWindows パソコンで使えるようにする。機械知能・航空工学科の学生は、3 年生以降、62 ある研究室のどれかに所属する。したがって、3年生以降の講義や実習で出された課題に取り組んだり、卒業研究を進めるときには、自分の所属する研究室で、好きな時間にSolidWorks を利用すれば良い。

また研究室は大学院 工学研究科の研究室でもあり、大学院修士課程での授業や修士研究でも、研究室のSolidWorks を各自がそのまま活用していくことになる。学部3 年生から修士2 年生まで4 年間続けて、常に3 次元CADと解析ソフトを利用できる環境を作り上げるには、研究室への配布が最適であると、機械知能・航空工学科の先生方は判断したのである。さらに学生が自分の所有するノートパソコンにインストールして、自宅やリモート環境でSolidWorks を使用することも推奨する方針である。※2

「伸びる学生を伸ばし、さらに上を目指す学生を支援するのが大学の使命です。3 次元CAD 導入の狙いも、ここにあります」と、東北大学大学院 工学研究科 機械システムデザイン工学専攻 准教授の山中将(まさし)先生は語る。
機械知能・航空工学科は、1学年約250 人の学生が在籍する。4 年間にわたって、待ち時間などのストレスを生じさせることなく、いつでも気軽に3 次元CAD と解析ソフトを使えるようにするには、250×4=1,000 セットが必要である。集合教育のツールではなく、「CAD教室レス」のカリキュラム教育での利用と日頃の研究活動の支援ツールへの応用を熟慮したからこそ、学生の人数分のライセンスを整備したのである。

●学部3 年生のカリキュラムにも3 次元CAD 利用を組み込む

SolidWorks をカリキュラムに組み込むのは、2008 年10 月に始まる後期の授業からとなる。

まず、機械知能・航空工学科3 年生の「計画および製図 氈i前期)、(後期)」の授業で、機械設計の能力を向上させるために、3 次元CAD を用いる予定で、準備を進めている。

「『計画および製図 氈A』の授業では、ドラフタを使って、機械と図面の関係を理解させる教育を行っています。簡単な機械の設計もさせていますが十分とは言えません。2008 年度は、この授業に、3 次元CAD を取り入れたい。それも、ドラフタのエンピツを3 次元CAD のマウスに持ち替えるのではなく、3 次元CAD の特徴を活かしたカリキュラムを新たに開発して,学生の機械設計の能力を飛躍的に向上させたい」と、山中先生は語る。

機械知能・航空工学科にはもともと、製図の技術習得を目的とした授業はない。「計画および製図」の授業は、まず機械部品をどのように図面に表現するのかを理解させ、最後には仕様に基づき簡単な機械を設計させることが目的の授業である。したがって、CAD を大量導入しても、CAD の操作教育を目的とする授業を設けるつもりはない。ドラフタで教えていた内容の一部を3 次元CADに置き換えるのではなく、あくまでも3 次元CAD の特徴を活かして、機械設計の能力を向上させるために、SolidWorks を活用していく。その際、学生が自分で考えながら取り組まなければならない課題を出し、研究室のSolidWorks を使って各自が設計を行い、次の授業で発表するといった流れを計画している。

「SolidWorks は、最初にチュートリアルを2 時間程度教えれば、あとは、自主性に任せた運用を通じて自然に使いこなせるようになります。操作の習得については、学生の要請に応じて、メーリングリストで情報を交換しながら、週1回の講義のときに質問してもらうなどのフォローで、十分だと考えています」と山中先生は言う。 学生が自分で考え、学べる環境を整え、自主性を伸ばしてあげる、というのも次世代エンジニアを育成する東北大学の教育コンセプトである。 そして質問や学生が更なる理解度を深めたければそれを支援する教授陣のバックアップ体制も整っている。

2008 年度後期は、カリキュラムへの導入を試行したうえで、2009 年度からは、「計画および製図」の授業に総合的に組み込んでいく計画である。また、SolidWorks とCOSMOSWorks の活用を講義に組み込んでいこうという試みは、他の授業でも進んでいる。CAD とシームレスにつながった形で解析ツールが使えることから、材料力学の授業などで、これらを活用して取り組む課題を出すことも考えられる。

●研究室での利用には3 次元データが不可欠

同時に、62 の研究室では、それぞれの研究テーマに沿って、3 次元CAD とCAE を活用していくことになる。研究室での使い方は千差万別である。

「どの研究室も、自分の研究のために優れたツールを活用したいと思っています。研究室で必要なのは、CAD 操作の基本を教えるための簡易なツールではなく、最先端の研究を効率よく行える本物のツールです。その視点で各研究室が個別に導入したSolidWorks が、合計すると、100 セットぐらいにのぼります。『共通インフラにするCAD は、SolidWorks がいい』が、先生方の総意です」と山中先生は語る。誰かがSolidWorks を利用しようとすると、そばにいる先輩が操作を教えてくれるという研究室の環境は、すでに素地が形成されているのである。

山中先生の研究室でも、シャフトドライブCVT(無段変速機構)の研究などに、SolidWorks をツールのひとつとして自然に利用している。

「3 次元データは、使い回せるのが最大の魅力です。設計してモノを作るだけなら、2 次元でも構わないでしょう。ところが3 次元データは、アセンブリを確認し、樹脂造形で部品を試作し、解析を行い、アニメーションで動きを確認することができます」と山中先生は強調する。

これからの大学・大学院教育では、3 次元ものづくり教育は不可欠である。3 次元CAD は、設計効率を向上させるだけでなく、学生の創造性を伸ばし、フロンティアスピリットを刺激するからである。

◆大学院の新設授業「機械工学フロンティア」でも活用◆

今回の学部へのSolidWorks 大量導入は、大学院工学研究科で「機械工学フロンティア」という授業科目を新設したことが契機になっている。

文部科学省が主導する「2007 年度大学院教育改革支援プログラム」※3に、東北大学機械系として応募して、みごと採択を獲得した。採択されたプロジェクトが、「機械工学フロンティア創成」である。

「機械工学フロンティア創成」の目的は、機械システムの設計と創成に必要な一連のプロセスを体験的に習得する実践的・体系的な教育を実施することである。この目的のために、「機械工学フロンティア」と「イノベーション創成研修」という新しい授業科目を大学院に新設した。「機械工学フロンティア」の授業では、学期の前半では、システム・インテグレーションやプロジェクト・マネジメント、安全管理に関する講義を行う。学期の後半では、各研究室の指導のもとにチームを編成し、提案書の作成、概念設計、設計審査、プロトタイプ試作などを行う。

「機械工学フロンティアの授業を成功させるには、学生各自が自分の判断で設計や解析をどんどん行える環境を整備しておかなければなりません。Windows パソコンで使える3 次元CAD とCAEの組み合わせを配布しておくことは、この環境づくりの一番の近道です。研究を進めるに従って、大型計算機を使った解析が必要になるチームや、スキャナで画像を取り込みたいチームなどがいろいろ出てくると思いますが、そのときにも、ベースになるツールが共通であるほうが都合がいい。特に、SolidWorks の教育版は、CAD とCAE が表裏一体のセットになっているため、お絵かきツールではなく、デジタルエンジニアリングのツールとしてさまざまに使いこなすことができます」と山中先生は語る。

ただし、大学院で急にCAD とCAE が使える環境を提供すると、操作を身につけるところで時間をとられてしまう恐れがある。そこで、大学3 年生のときから、研究室では3 次元CAD とCAE を自由に使えて、操作にはいつの間にか慣れてしまうという環境を整えておくことで、大学院における「機械工学フロンティア」をより効果的な授業にして、創造性豊かなフロンティア精神を花開かせたいと考えたのである。

◆2001 年以来、学部1 年生の最適設計の授業で積んできた実績◆

工学部 機械知能・航空工学科が、集合教育用のCAD教室をあえて設けることなく、「CAD教室レスの導入」を選択したのは、研究室を中心とした専門教育強化に役立てることが目的であるからである。また、東北大学が、「Challenge(挑戦)」、「Creation (創造) 」、「Inovation(革新) 」という3つのキーワードを基軸に行動する自主的な研究マインドを重視しているためでもある。

そしてもうひとつ、SolidWorks の活用については、すでに「操作を細かく教えなくても、自主的な利用に任せる形で、十分に使いこなせる」ということが先生方の間で共通認識になっているほど、長年の実績を積んできた。

2001 年3 月、東北大学 大学院工学研究科は、付属施設の「創造工学センター」を開設した。このセンターは、通称「発明工房」と呼ばれ、創造性豊かな学生の育成と、地域社会への知的サービスおよび情報発信が、設立の目的である。3 次元CAD SolidWorks と樹脂造形をそろえたデジタル造形室、3次元CGアプリケーションを使えるデジタルアトリエ、インターネットに接続されたパソコンが用意されている情報処理室、小規模な計算機を自分で設計し作れるVLSI設計システム室、工具のそろった工作室、化学実験室などがそろっており、さまざまなアイデアを具体的な形にすることができる環境が整っている。

発明工房のデジタル造形室は、大学1 年生の選択授業「創造工学研修」でも利用している。この授業では、帽子や洋服をかける「フック」を設計し、解析を行って最適設計を行い、光造型で試作したうえで、負荷テストを行って、最適設計の成功度合いをグループごとに競う。

SolidWorks の教育は、初日に2 時間、チュートリアルマニュアルを教える程度である。これだけのCAD 教育で、5 日目には、最適設計までできるようになる。2008 年度後期に始まる「計画および製図」の授業では、この「フックの最適設計」またはこれに相当する課題を取り入れる計画である。

◆小学生向けオープンキャンパスでもSolidWorks/樹脂造形を活用

山中研究室では、大学4 年生、大学院生向けのゼミで、「時計プロジェクト」も実施している。これは、オリジナルの時計を設計し、製作し、評価するという内容である。学生には、「長針、短針が回転する従来の典型的な機構の時計は不可」、「部品点数が少ないほど優れた設計とする」などのルールが与えられ、2 人1 組のチームで時計の機構のアイデア出しから取り組む。

「ルールを定めることで、想像した以上のアイデアが生まれています。作り方についても、手順を細かく指示していないにもかかわらず、どんどん新たな工夫が生み出されているのです。インターネット上で公開されている機械メーカーの電子カタログの部品を利用する学生もいます。3 次元データだからこそ、こういうアイデアがどんどん広がっていくのです。大学院に新設する『機械工学フロンティア』の授業は、SolidWorks、COSMOSWork 等のデジタルエンジニアリングと、これらを使いこなす基礎的な力が必須です」と山中先生は力説する。

もうひとつ特筆されるのは、発明工房が、地域に向かっても開かれていることだ。夏休みには小学生、春休みには中学生を対象に体験授業を開催しているのである。 ものづくりや学ぶことの楽しさを体感してほしい、との思いから東北大学、仙台市教育委員会の企画で2001 年から開催をし、今年で8 年目を迎える。 この小学生を対象にした「こども科学キャンパス」では、6 講座のうちのひとつとして、「コンピュータでコマを作ろう」の講座が人気を博している。SolidWorks を使った3 次元設計、重心計算、設計データを使っての樹脂造形を、小学5 年生と6 年生が体験する講座である。

「時計、フック、コマ。どれも、自分で知恵を絞って、オリジナリティを発揮しないと作れない課題です。これからも、創造性を伸ばす実践的な授業をするために、新しい課題を工夫して考案していきます」と山中先生は意欲的に語る。

◆「よく切れるナイフ」、「本物のツール」としてSolidWorksを評価◆

SolidWorks は、ワールドワイドで累計77 万1,000 ライセンスの販売実績を誇るミッドレンジ3 次元CAD のデファクトスタンダードである。教育用ツールとしても幅広く採用されており、フランス、フィンランド、アイルランドでは、国の義務教育でSolidWorks を採用した。日本の教育機関でも、125 校の大学をはじめ、高等専門学校や工業高校など約400 校以上で28,000 ライセンスが使われている。(2007 年12 月末時点)

「SolidWorks 教育版2006-2007」からは、従来の3 次元CADの機能に加えて、構造解析/機構解析熱流体解析ができる解析用ソフトと、教職者・学生向けの操作マニュアルをワンセットにして提供している。複数の個別のソフトウェアを使い分けるのではなく、3 次元CAD で作った形状をそのままさまざまな角度から解析するというスムーズな流れが実現できたことで、教育市場での使い勝手はさらに向上したと評価されている。

またSolidWorks は、Windows のみをターゲットに開発を重ねてきたCAD ソフトであるため、ユーザビリティがWindows 環境で最大化されている。学生も先生方も、ふだんからWindows 環境に慣れているため、SolidWorks もすぐに使えるようになるのである。

「切れないナイフでは、彫刻を教えることはできません。よく切れるナイフなら、研究室に配っただけで、各自が工夫してそれぞれの使い方をします」と山中先生は言う。創造性や物を考える力は、「本物」の環境、プロフェッショナルが「良いツール」と認めた環境から生まれるのである。

すでに企業におけるものづくりは3 次元データを中心に全体が動くようになっている。東北地方でも、自動車産業が積極的な生産拠点展開を行っており、宮城県は県の主導により、デジタルエンジニアリングを駆使できる人材育成に取り組んでいる。東北大学の斬新な取り組みは、日本の産業界が求めるフロンティアスピリットにあふれた人材の育成という大きな流れにも沿ったものだということができる。

補足資料

※1 東北大学の工学系の組織体系について

東北大学における工学系の学生は、学部約3,700 人、大学院約2,100 人で、大学全体の約3 分の1 の規模を占めている。工学部・工学研究科は、研究重点大学として、多くの実績をあげてきた。テレビの受信に不可欠な八木・宇田アンテナの発明、電子レンジに使われているマグネトロンの発見、金属材料の研究、歯車の研究、曲面建築構造の研究など、世界を先導する数々の業績を誇る。2002 年には、電気系の卒業生である田中耕一氏(現在客員教授)が、ノーベル賞受賞に輝いている。このたびSolidWorks 1,000 セットを導入したのは、大学院 工学研究科 機械・知能系と、工学部 機械知能・航空工学科である。大学院の機械・知能系は、機械科学、設計、製造などの機械工学の基礎に立脚しつつ、さらに深層を開拓することを目指している。

大学院工学研究科 ★機械・知能系
          電子情報システム・応物系
          化学・バイオ系
          材料科学系
          人間・環境系
工学部      ★機械知能・航空工学科
          情報知能システム総合学科
          化学・バイオ工学科
          材料科学総合学科
          建築・社会環境工学科

※2 SolidWorks 教育版のネットワークライセンスについて

SolidWorks のネットワークライセンスは、設定した日数だけ、ライセンスを切り離すことができる。つまり、一定のライセンス数を大学が導入すれば、学生が自分のノートPC にインストールして持ち帰り、自分の個人用ソフトウェアのように活用することも可能である。サーバー側で設定した貸出し期間が過ぎると自動的にライセンスが戻るため、管理負荷をかけることなく、在学生だけを確実にカバーできる。

※3 文部科学省大学院教育改革支援プログラムについて

2005 年9 月5 日、中央教育審議会が答申した「新時代の大学院教育」においては、今後の大学院は「教育の実質化」(教育課程の組織的展開の強化)が必要だと提言されている。文部科学省はこの答申を踏まえて、2006 年度から5 年計画の「大学院教育振興施策要綱」(2006 年3 月30 日)を策定するとともに、「大学院設置基準」も改正した。さらに、こうした改革を踏まえて、社会のさまざまな分野で幅広く活動する高度な人材を育成する教育的な取り組みを重点的に支援することにより、大学院教育の実質化を推進しようという取り組みが、「大学院教育支援プログラム」である。このプログラムは、高度な学術研究に豊富に接するなかで、創造性豊かな若手研究者を育成する各大学の取り組みを評価して、3 年間支援するというものである。全国の大学から355 件の申請があり、126 件が採択された。東北大学の大学院工学研究科では、「機械工学フロンティア創成」と、「メディカルバイオエレクトロニクス教育拠点」の2 つのプロジェクトが採択されている。

SolidWorks、eDrawings、PDMWorks、 3D ContentCentral は(米)ソリッドワークス社の登録商標です。COSMOS、COSMOSWorks は(米)SRAC 社の登録商標です。また、それ以外に記載されている会社名及び商品名も各社の商標または登録商標です。

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