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製品ライフサイクルマネージメントとは何か?:関連寄稿文献
(PLM:Product Lifecycle Management)

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CALSの現状と動向
(日経メカニカル、1996.6.24、no.483)

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日本のCALSの現状 - フィーバーから実用化へ

 1980年の半ば、米国の国防省に端を発したCALS (Continuous Acquisition and Lifcycle Support)は我が国でも一昨年あたりからそのコンセプトの重要度が認識され昨年は業界総じてCALS一色の状況であった。書店の店頭では20種を超えるCALS関連の書籍が山高く積まれていたのではないだろうか?言わば日本のCALSフィーバーの期間でもあった。本校読者も1冊のみならず何冊かは買い求めたことと思う。その面で本校ではCALSに関する内容の言及、歴史などはあえて記述を行わない。

 日本を除く多くの諸国では当然のことながら防衛関係がCALS導入のターゲットであったことは周知の事実である。一方我が国の場合には通産省の広報(*.1)に見られるようにデジタル情報化のみならず企業活動を含む産業構造にまで及ぶ情報インフラの整備の立ち遅れが叫ばれ、その中の一つのキーワードとしてCALS化の必要性があげられた。結果的に昨年、通産省の生産・調達・運用支援統合情報システム技術研究組合(CALS技術研究組合 - NCALS)並びに内外に対する中立的な立場としてのCALS推進協議会(CALS Industry Forum - CIF)が発足した。昨年NCALS内では3カ年計画で発電プラントの実証実験が開始され、一方CIFの手でCALS PACIFIC 95に於いてVE2006(VIRTUAL ENTERPRISE 2006)と呼ばれるフィクションでの企業統合のデモンストレーションが行われたことは記憶に新しい。

 本年度は上述の通産省の広報にも指摘された我が国の抱えている諸問題、すなわち国際競争力の低下や既存制度・システムの制度の疲労化などの解決策として先進的な電子情報技術の活用を取り上げ、『電子商取り引き - エレクトロニック・コマース』をターゲットに『企業間高度電子商取り引き推進事業 - 企業関のエレクトロニック・コマース実証プロジェクト』が開始された。それは:

  • CALS実証実験
  • EDI高度化プロジェクト
  • 高度商品データベース構築・検索技術プロジェクト
  • 電子公証システム等共通技術関連プロジェクト

であり、これらには高度情報化を進めるための標準化や相互運用性の確保などのために26のプロジェクトが含まれている。

 CALS実証実験に於いては所謂業種別CALSと呼ばれている幅広い産業分野での情報化促進並びに実用化のために10のプロジェクト(表.1参照)が予定されている。

 これらの詳細ははインターネットでNCALSないし情報処理振興事業協会(IPA)のホームペイジ(*.2および*.3)を参照いただきたい。

CALSの実像 - 日本への期待

 米国の国防省に端を発したCALSは欧米で現状一般的な見方はどのようになっているのだろうか?事実CALSそのものは一頃に比較し下火となっていることは周知の事実である。それらの理由は様々あるが以下の様なものであげられる:

  • それに伴う高コストにつくMIL製品から民生品への切り替え
  • より広範な意味でエレクトロニック・コマース(EC)への移行
  • 情報武装化の面からオープンなIT(情報テクノロジー)製品の出現

 しかし、これはCALSそのものの目的が変わったことを意味するものではない。また、宇宙・航空・防衛産業に於いて欧米では既にMIL規格に於いて様々な標準化(図.1参照)が進んでおり、また、図書(図面や文書)の電子化・統合化も既に長期レンジで計られているのが実態である(図.2参照)。これは例えばCALSのデータフォーマットが固有のものでなく業界の世界標準を採用していることでも明白である。

 これらの状況から我が国の場合、CALSは『CALSと言うターミノロジー』が商用分野へ、そのキーコンセプトの取り込みや仕組の応用に振り向けられている。それは本年度に於ける業種別CALSのプロジェクトの内容からも明らかである。

近隣諸国の中で特に日本の動きに注目しているのが韓国だが我が国との決定的な違いがあると言える。それは南北緊張下での防衛面に米国とより緊密な関係がCALSに対する必要性を持っていると言われるためである。我が国のCALSは当初から防衛面からでなく商用面から捉えて研究・実証プロジェクトが進められた訳だが、特異な面でその成果は諸外国から注目されている。

 歴史的に見てフィーバーの期間は目に見えた成果が現われないのが常である。フィーバーが去った後、現実に手に出来るテクノロジーなりツールなりが成長しているものである。いずれにせよ、今年は業種別の実証実験プロジェクトが進み、フィーバーからクールダウンのステージに入ると予想する。本年度はその意味で実用化への成果が期待され、それは諸外国からも期待されている。

 世界的に見て上記状況とは言え、CALSで唱えられたポイントは情報の武装化(Information Technology - IT化)であり、以下のものが求められている(*.4):

  • システムの即応性
  • 情報のライフサイクル・マネージメント
  • ライフサイクル・コスト・マネージメント
  • 適正システム、即応性の保証、品質保証

 これを実現するためにCALSの中で言われているビジネス・プロセスや共有データベースの問題、データの交換標準の問題が実際の手段として重要なものになる。それはCALSそのものは『手段』でも『物』でもなく『システム』ないし『コンセプト』と捉えるべきであろう。

 現状の持っている課題から捉えならばペーパーレスの課題を解決する電子データの標準化から発展し、商取り引き情報の電子化である電子商流化(EC)とシステムの即応性を保証するライフサイクル・サポート化(CALS)に発展し、結果として将来に現実もものとして予期されるバーチャル企業が存在しよう。

 これを『手段』と『物』と言う面から捉えれば現実的なテクノロジーが見える。例えば、CALSの核となる技術標準(図.4参照)である交換フォーマットを見てみよう。一般にCALS関連と言われる商品はこのいずれかをサポートをしたものである。それらはSTEPなどのデータ変換ツール、イメージ・ビューワやラスター・ビューワ、SGMLに関する編集などの諸ツールである。これらは標準で定められた定義に沿った機能を実現したものはコマーシャル・ツールとして入手可能である。

 また、関連したターミノロジーであるPDM(製品データ管理)システムのベンダーも古くからCALSの導入に貢献をしている。その背景として以下の様なPDMシステムのCALSへの効果があげられる:

  • 設計変更と承認の履歴管理
  • エンジニアリング リリース プロセス
  • CALS対応フォーマットでの電子データの配布
  • ファイル アクセスのセキュリティ コントロール
  • アップ ツー デートな情報提供
  • 関連部品な更新情報のクロスインデックス

 これらの効果は共有データベースであるCITIS(Contractor Integrated Technical Information Service - 契約者統合技術情報サービス)システムの構築にも効果を発揮する。PDMシステム・ベンダーのCALSに対する関連は表.2を参照いただきたい。

 CALS化への道に必要なツール群またサービス品目は欧米で既に多くの場面で使われ熟成されている。

IT化と言う広範な意味で捉えれば交換フォーマットの分野のみならず即応性や品質保証などに寄与する3次元CAD並びにビジュアライゼーションなどが欧米のCALSユーザーと言われる中で実用化されておりこの面も見逃してはならない。

 これは一般にディジタル・モックアップと呼ばれ、昨今話題になっているボーイング777のロールスロイス社に呼ばれる於けるEPD(Electronic Product Definition)によるエンジン開発(*.5)やEarly Product Imagingと言われる3次元CADデータをベースにPDM製品やビジュアライゼーション製品の応用でコンカレント・エンジニアリングの実践が欧米の自動車メーカーや航空機メーカーで進んでいる(*.6)。これらはイネーブル・テクノロジーやツールの積極的な利用で実現されている。

 我が国が 将来VE2006に見られるバーチャル企業をCALSとして表現している分野は諸外国に於いて、従来の国防省のCALSの範疇の定義のみならずより広範な意味合いをもって様々なチャレンジがなされている。

 米国のNIIIP(National Industrial Information Infrastructure Protocals)プロジェクト(*.7)に代表されるように企業間統合の共通インターフェイスがより現実的な姿で進められようとしている点である。それらは現存するデ・ファクト・スタンダードからの構築、オープン・アーキテクチャ、レガシー・システムの保護、商用化への道、既存のスタンダードの拡張などがベースとなっている点に注目されたい(図.4参照)。

 CALS化ないし企業のIT化に対するイネーブル・テクノロジーないしツールは既に手にすることは可能である。我が国の競争力再生に向けてまずは今使えるものを積極的に活用することは急務である。将来のイネーブル・テクノロジーないしツールは必ずその延長線上にある。

参照文献

*.1:通産省広報 - 高度産業情報化プログラム(平成6年11月18/21/22日)

*.2:NCALSホームペイジURL:http://www.cif.or.jp/より
*.3:情報処理振興事業協会ホームペイジURL: http://www.ipa.go.jp/index-j.html

*.4:CALSの概要と最近の動向から、城戸 俊二、SOLE東京支部幹事、東洋エンジニアリング(株))

*.5:Electronic Product Definition - The Rolls-Royce Vision (Tony Squires, Rolls-Royce Aerospace Group)、EPD Project (日本コンピュータビジョン株式会社)

*.6:アーリープロダクトイメージングによるコンカレントエンジニアリング(日本シリコングラフィック株式会社)

*.7:NIIIP....Protocols for tomorros Industrial Virtual Enterprise, Ed Carl、ITI および NIIIPホームペイジURL:http://www.niiip.or.org

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更新情報:08.1.16 Copyright 2008 MetaLinc K.K. All Rights Reserved