2022.4.20:旭化成とScope1, 2, 3を網羅した製品別CFP管理基盤を共同開発 (NTTdata)


~2022年5月からCFPデータを提供開始予定~

株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)は、旭化成株式会社(以下:旭化成)と共同で、最終製品別のCarbon Footprint of Products(以下:CFP注1)管理基盤(以下:本基盤)を開発しました。旭化成の機能材料事業部注2で2022年4月から本格運用しており、5月から顧客にCFPデータ提供を開始する予定です。

昨今温室効果ガス排出量の管理ニーズが高まっており、工場など自社活動からのCFP(Scope1,2注3)に加え、購入原料などに含まれる自社外のCFP(Scope3注3)を網羅した総排出量の把握が求められ始めています。そのため、CFPの管理は工場別など自社内の管理に適した単位ではなく、会社間の管理に適した最終製品別の単位で行う必要が出てきています。さらには、把握したCFPのコスト金額を見極めて、CFPの少ない最新設備導入などの投資判断を行うことが今後必要とされています。

本基盤では、これらの課題を解消し、調達原料や外注加工のScope3を含む製造プロセス全体を網羅し、最終製品別のCFP算出を行うこと、また自社のCFPに価格を付ける「Internal Carbon Pricing(以下:ICP)」を活用してCFPを財務情報として数値化し、投資判断の指標として使うことができます。

今後、NTTデータは製造業を中心とした多岐にわたる業種に対し、本基盤の提供を含む温室効果ガス関連ビジネスで、2025年度末までに20件以上の受注を目指します。

背景

昨今、SDGsをはじめとする社会課題解決への取り組みが重視されています。特に、近年増加する気象災害を背景に、気候変動への対応は、国際的な枠組みと合わせ、各企業は自社だけではなく業界全体を意識した取り組みが求められています。

こうした中、自動車OEMメーカーでは、サプライヤーにCFP削減目標値を提示する企業も出てきており、サプライチェーン全体でカーボンニュートラルに向けた動きが加速しています。旭化成をはじめとする素材メーカーにおいても、サプライチェーンの中で、上流メーカーから仕入れた原料に含まれるCFP(Scope3)に、自社の製造プロセスで発生したCFP(Scope1,2)を加えた累計排出量情報を、最終製品別に下流メーカーに提供する必要性が高まっています。また、下流メーカーからのCFP削減要請に応えるため、新規設備導入などの判断が迫られますが、企業がCFP削減の投資対効果を図る指標を持っていないことが多く、CFP関連の投資判断を迷うケースが出ています。

そこでNTTデータは旭化成とともに、最終製品別のCFPを管理・評価する基盤を開発し、2022年4月から旭化成の機能材料事業部で本格運用を開始しました。

本基盤の特長

1.調達原料や外注加工(Scope3)を含む製造プロセス全体の網羅

上流の原料メーカーから仕入れた原料別のCFP(Scope3)に、外注加工(Scope3)、および、自社の製造プロセスで発生した排出量(Scope1,2)を加えることで、製造プロセス全体を網羅したCFPを算出します。

2.最終製品別のCFPの算出

各拠点に散在するCFP関連データを集約し、最終製品別にひも付けて管理することで、グローバルの複雑な製造プロセスで発生するCFPを製品別に見える化します。

上記1,2の機能により、下流の組み立てメーカーなどにScope1,2,3を網羅した製品ごとのCFPを提供できます。また、製品×製造プロセス別に排出量を見える化することで、製造プロセスごとの効果的な削減施策の検討が可能になります。

20220420 NTTdata 1

3.Internal Carbon Pricingを活用したCFPの財務評価

自社で独自に設定したCFPコスト単価を用いて、CFPを金額に換算したICPを算出します。ICPを活用することで、例えば、将来の製品別の収支計画コストと、投資に伴うCFPの削減コストを比較し、投資対効果を評価することができます。また、製造プロセス別のICPから最新省エネ機器や、自然エネルギーへの転換の投資優先度の判断を行うことができます。

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本基盤の仕組み

  • 製品全体のCFPを把握するため、仕入れ先および全拠点のデータをAnaplanに入力。グローバルの製造工程をつないだ製品構成表(グローバムBOM)を用いて自動的に製品別の連結排出量を集計。
  • Anaplanの高速演算の強みを生かし、グローバルの製造プロセスを網羅した、最終製品別のCFPを数秒で算出。従来決算のタイミングでしか把握できなかった製品別排出量の月次などの高頻度での管理を実現。
  • 製品別排出量を分析プラットフォームであるTableauに連携し、製造工程別や、製品種別ごとの詳細データ分析を実施。

※旭化成では詳細分析を実現するためにTableauを導入しているが、Anaplan上でのレポーティングも可能

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今後のビジネス展開について

NTTデータは、既に提供しているグリーンコンサルティングサービス注4をはじめ、製造業向けに本基盤の提供および運用の定着支援を行いつつ、製品別のCFPの管理だけではなく、サプライチェーンを業界全体でつなげた管理を実現し、SDGsの達成に貢献していきます注5。Anaplan、TableauなどのSaaS製品の活用を積極的に進め、2025年度末までに20件以上の受注を目指します。

NTT Green Innovation toward 2040

NTTグループでは2021年9月28日に環境ビジョン「NTT Green Innovation toward 2040」を策定し、2030年度までに温室効果ガス排出量の80%削減(モバイル、データセンターはカーボンニュートラル)、2040年度までにカーボンニュートラルを実現することをめざしています。またNTTグループは、自らのカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを社会へ拡大し、日本政府がめざす2030年に2013年度比で温室効果ガスを46%削減するという目標、および2050年までのカーボンニュートラルの実現に貢献します。

注釈

注1 商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量を二酸化炭素に換算して定量的に算定したものを指します。旭化成で算定を行っているCFPはプロセス合算型データ(Cradle-to-Gate)の考え方に基づいたもので、旭化成の上流にあたる原料由来のものや輸送時に発生するもの、旭化成における製造プロセス上で発生するもの、また製造に使用される電力などのエネルギーに由来するものの合算値を指します。
注2 機能材料事業とは、旭化成のエンジニアリングプラスチックと呼ばれる機能性樹脂を中心とした製品群により構成される事業領域を指します。高耐熱性・高強度・難燃性などの高い機能を持つ樹脂製品を、自動車・電気電子部品・OA・太陽電池などのさまざまな用途に供給しています。
注3 Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
  Scope2:電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
  Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
注4 2022年1月14日ニュースリリース:グリーンコンサルティングサービスを提供開始
https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2022/011400/
注5 NTTデータはグリーンイノベーション推進室の旗振りの元、第三製造事業部、グループ会社のクニエなどでサステナビリティに貢献するサービスを幅広く提供しています。

※
文章中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

参考

NTTデータグリーンソリューションについて
https://www.nttdata.com/jp/ja/services/carbon-neutral/

旭化成 機能材料事業について
https://www.asahi-kasei-plastics.com/

本件の参照先:https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2022/042000/

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