2022.9.7:電気事業者向け設備パフォーマンス管理(APM) ・設備投資最適化(AIPM)ソリューションの開発について (東芝)


~新託送料金制度に対応し、設備の故障リスクをベースとした設備保全業務の高度化の実現を目指す~

 東芝デジタルソリューションズ株式会社(本社:神奈川県川崎市、取締役社長:岡田 俊輔、以下 当社)は、カーボンニュートラルの実現および自然災害に対する送電設備のレジリエンス向上を目指した取り組みとして、電気事業者(一般送配電事業者)が取り組む新託送料金制度注1に対応した設備パフォーマンス管理(Asset Performance Management、以下APM)および設備投資最適化(Asset Investment Planning and Management、以下AIPM)ソリューションの開発に着手しました。当社は2023年春のリリースを目指し、IBMの設備保全統合管理システムIBM Maximo®︎ Application Suite注2を利用し、新たなソリューションを開発します。今後、他のソリューションや個別開発システムとの連携開発などにより、さまざまな業界・お客さまのニーズに応えられるようソリューションを拡充していく予定です。

 2023年4月から導入される新託送料金制度は、必要な電力ネットワーク投資の確保と電気料金高騰の抑制を両立させるために施行され、電気事業者(一般送配電事業者)における市場環境を大きく変化させます。新託送料金制度では、老朽化する設備についてのリスク量の評価と、その改善のための事業計画の策定が求められるため、リスク量の算定と中長期の更新工事計画の最適化を行うメンテナンスが必要となっています。

 こうした中、当社が構築を目指す設備パフォーマンス管理(APM)および設備投資最適化(AIPM)ソリューションは、老朽化する設備のリスクを正しく評価し、設備点検の周期や修繕計画および投資の最適化を図るための設備保全業務の課題解決・高度化・デジタル化に貢献します。

■ソリューションの概要

  1. 設備工事・保全管理システム(EAM注3)を中心に据えた統合アセット・マネジメント・システムにより、保全業務プロセスを高度化 
    EAMシステムを中心として設備パフォーマンス管理(APM)および設備投資最適化(AIPM)のモジュールを適用することにより統合的なアセット・マネジメント・システムの提供を目指します。
  2. 導入リードタイムの短縮および設備管理手法の標準化を実現
    標準化されたアセット・マネジメント手法とICTを活用した業務効率化の実現を目指します。
  3. 電力広域的運営推進機関のガイドラインをベースにしたリスク評価を算定
    対象設備のリスクスコアの算定には高経年化注4設備更新ガイドラインの計算式を元に、必要な計算式を柔軟にカスタマイズし計算することが可能なソリューションの提供を目指します。
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 APMは、設備情報/巡視・点検情報/不具合情報といったデータをEAMから受け取り、「設備の故障による影響度」および「故障確率(劣化カーブ)」のリスクを算出し可視化します。さらに、AIPMは、APMで算出・定量化されたリスク分析データを基に、設備の工事における投資の最適化を行います。

 設備保全は一般的に、故障後に修理を行う事後保全注5から、故障の未然防止を図る定期計画保全注6、設備の状態に基づく状態監視保全注7と移行してきましたが、昨今では、経営的な視点からさらに効率的なメンテナンスが求められており、手法としてリスク量をベースとして保全計画を立案するリスクベース・メンテナンス注8への期待が高まっています。リスクベース・メンテナンスは従来から手法としては検討されており、効率化が見込める一方、必要とする情報処理が膨大であることから実運用に至るケースは多くありませんでした。しかし、近年のIT技術の革新に伴い、改めてその適用検討が進んでおり、APMおよびAIPMが注目されています。

 当社は、今後も設備保全業務に関わるソリューションを提供することで、電気事業者をはじめとする設備事業者の設備保全業務の課題解決・高度化・デジタル化に貢献します。

注1:新託送料金制度
一般送配電事業者が、一定期間ごとに、収入上限(レベニューキャップ制度)を算定し国から承認を受ける制度。
注2:IBM Maximo Application Suite
保全作業の効率化を実現させるため、「資産管理」、「状態監視」、「予知保全」、「画像分析」、「安全保全管理」の機能を単一プラットフォーム内で実現した日本アイ・ビー・エム株式会社のソリューション。
(参照:https://www.ibm.com/jp-ja/products/maximo
注3:設備工事・保全管理システム(EAM)
エンタープライズ・アセット・マネジメント(Enterprise Asset Management)の略。企業が保有する設備資産の工事や保全業務を一元管理するための業務効率化ソリューション。
注4:高経年化
設備の長期間の運転により、機器や構造物に性能や材質の劣化や変化が現れること
注5:事後保全(Breakdown Maintenance)
設備に問題(故障)が発生してから対応(設備保全)をするメンテナンス方法。
注6:定期計画保全(Time-Based Maintenance)
設備の状態にかかわらず、一定期間ごとにメンテナンスや部品交換を行い、故障を予防するメンテナンス方法。
注7:状態監視保全(Condition-Based Maintenance)
設備の劣化状態を見て、一定基準以上の劣化が起きた際に対応するメンテナンス手法。
注8:リスクベース・メンテナンス(Risk-Based Maintenance)
設備の「故障による影響度」と「故障確率」をリスクとして定量的に算出し、その算出結果に応じて保全計画を立てるメンテナンス手法。

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本件の参照先:https://www.global.toshiba/jp/company/digitalsolution/news/2022/0907.html

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