2023.7.24:SAP、2023年度第2四半期の業績を発表


(本リリースは、7月20日に弊社本社から発表された発表文の抄訳です)

SAP SE(NYSE:SAP)は、2023年6月30日に終了した第2四半期の財務業績を
発表しました。本資料は、SAP SEが発行している「2023 Q2 Quarterly Statement」の
抄訳です。オリジナルの資料はリンク先を参照ください。



  • クラウド売上は19%増、固定通貨換算ベースでは22%増。
     SAP S/4HANA(R)クラウド売上は74%増、固定通貨換算ベースでは79%に急増

  • カレント・クラウド・バックログは21%増、固定通貨換算ベースでは25%増

  • クラウドの総利益はIFRSベースで20%増、Non-IFRSベースで20%増、固定通貨換算ベースで24%増。
     SAPの次世代クラウド・デリバリー・プログラムの完了が後押し

  •  IFRSベースの営業利益は28%増、Non-IFRSベースの営業利益は23%増、固定通貨換算ベースでは28%増
  • SAP、2023年の売上と営業利益の見通しを更新 
・ 新しいSAP Business AIとプレミアムAIのオファリングにより市場機会を拡大

SAP CEO、クリスチャン・クライン(Christian Klein)は次のように述べています。

「今期も好調な四半期となりました。そして今後も、特にAIの革新的なパワーが大きな
ビジネスチャンスをもたらすと考えています。SAPでは、高い関連性と信頼性を備えた、
責任あるSAP Business AIの実現に注力しており、これらのテクノロジーと新たな
プレミアムオファリングを通じて市場を拡大していくという大きな可能性を見出しています」

SAP CFO、ドミニク・アサム(Dominik Asam)は次のように述べています。

「上半期の業績には大変満足しています。売上の伸びと収益性の向上は、クラウドバックログの
持続的な伸びと相まって、当社ビジネスモデルの強さを実証するものとなっています。
SAPは、第2四半期の業績によって正しい軌道に乗ることができたため、クラウドと
ソフトウェアの売上および通期営業利益の見通しを引き上げることにいたしました」

2023年第1四半期に、Qualtrics連結グループ(以下「Qualtrics」)は、IFRS第5号に基づき
非継続事業に分類されました。その結果、Qualtricsからの貢献はSAPの継続事業報告には
含まれません。「(N) Discontinued Operations(非継続事業)」の項を参照してください。
また、SAPの表示および開示の変更についての詳細は、記録情報セッションをご覧ください。

業績ハイライト

2023年度第2四半期

カレント・クラウド・バックログは、21%増の115億4,000万ユーロ(固定通貨換算ベースで25%増)
でした。SAP S/4HANA(R)のカレント・クラウド・バックログは、65%増の37億2,000万ユーロ、固定通貨換算ベースで70%増でした。

第2四半期のクラウド売上は19%増の33億2,000万ユーロ、固定通貨換算ベースで22%増でした。
SAP S/4HANAのクラウド売上は、74%増の8億2,300万ユーロ、固定通貨換算ベースでは79%増でした。



ソフトウェアライセンスの売上は26%減の3億1,600万ユーロ、固定通貨換算ベースで24%減でした。
クラウドおよびソフトウェア売上は、5%増の65億ユーロ、固定通貨換算ベースで8%増となりました。
サービス売上は、4%増の10億5,000万ユーロ、固定通貨換算ベースで7%増となりました。
総売上は、5%増の75億5,000万ユーロ、固定通貨換算ベースで8%増となりました。

第2四半期の予測性の高い売上の比率は、2パーセンテージポイント増の82%に達しました。


次世代クラウド・デリバリー・プログラムの完了に支えられ、クラウド総利益はIFRSベースで
20%増の23億6,000万ユーロ、Non-IFRSベースで20%増の24億ユーロ、固定通貨換算の
Non-IFRSベースでは24%増でした。

営業利益は、IFRSベースの場合、28%増の13億6,000万ユーロで、Non-IFRSベースでは、
23%増(固定通貨換算ベースで28%増)の20億6,000万ユーロでした。この増加は主に、
クラウド売上の伸び、次世代クラウド・デリバリー・プログラムの完了、および効率性の
向上によるものです。また、前年同期の営業利益は、SAPがロシアとベラルーシでの
事業縮小を決定したことによるマイナスの影響を受けています。さらに、第2四半期の
IFRSベースの営業利益の伸びは、昨年第2四半期に計上した構造改革費用の恩恵を
受けたものになります。一方で、主に今年第2四半期の株価動向による株式報酬費用の
増加により、営業利益はマイナスの影響を受けました。

IFRSベースの1株当たり利益(基本)は、15%増の0.62ユーロでした。Non-IFRSベースの
1株当たり利益(基本)は、12%増の1.07ユーロでした。実効税率は、IFRSベースで33.8%、
Non-IFRSベースで30.4%でした。

第2四半期のフリーキャッシュフローは、営業利益の堅調な拡大と、株式報酬、資本的支出、
リースなどに対する支払いの削減により、6億400万ユーロと大幅に増加しました。
上半期のフリーキャッシュフローは19%増の25億6,000万ユーロとなります。

Qualtricsの売却完了

SAPは6月28日、Qualtricsの株式売却を1株当たり18.15米ドルで完了したと発表しました。
この取引の成立により、税引き後売却益として約32億ユーロ(IFRSベース)、
約26億ユーロ(Non-IFRSベース)がSAPの業績に貢献しています。買収価格による
現金流入は71億ユーロ(Qualtricsが保有する現金および現金等価物控除後64億ユーロ)
でした。Qualtricsの売却による貢献はすべて非継続事業の業績に反映されています。

次世代クラウド・デリバリー・プログラムの完了

第2四半期の初め、SAPは、調和のとれた最新鋭のSAPクラウドインフラストラクチャーへの、
当社クラウド顧客ベースの移行を完了しました。2021年初めに開始したプログラムの
一環として、20,000以上の顧客と50万以上のテナントの移行が行われました。

ビジネスハイライト

第2四半期に、エンド・ツー・エンドのビジネス変革を推進するために「RISE with SAP」を
お選びいただいた世界各国のお客様には、ARAG、Bacardi-Martini、Bayer、
DFS Deutsche Flugsicherung、Empresas Polar、Foodstuffs South Island、GOL、
McBride、ユトレヒト自治体、Sochorなどがあります。

また、ABN AMRO Bank、Cirque du Soleil、HanesBrands、Levi’s、Tech Mahindra、
および Versuniが、第2四半期にSAP S/4HANA(R) Cloudの本稼働を開始しました。

さらに、The Brenda Strafford Foundation、in-tech GmbH、NKKスイッチズ株式会社、
Onyx Renewable Partners、StepLockおよびSunny Sky Productsには、クラウドERPの
スピーディかつ予測可能な導入を継続的イノベーションにより支援する中堅企業向けの
新サービス「GROW with SAP」をお選びいただきました。

SAPのソリューションポートフォリオをお選びいただいた主なお客様としては、
Breakthru Beverage、Deutsche Börse、Endress+Hauser InfoServe、La Poste、
LB Group、Sabadell Digital、Santander、TATA Projects、Visaなどがあります。
また、旭化成株式会社、Coca-Cola HBC、Falabella Financiero、González Byass、
富士通株式会社、NTT、東武鉄道株式会社、OMV など非常に多くのお客様が
SAPソリューションの本稼働を開始しました。


当四半期におけるSAPのクラウド売上の実績は、すべての地域において非常に好調でした。
ドイツ、ブラジルおよびインドにおけるクラウド売上の伸びが顕著で、また米国、
オランダ、フランス、中国およびチリも特に好調でした。

2023年4月26日、SAPとHP Inc.は戦略的関係の拡大を発表しました。HPは、
RISE with SAPソリューションを活用することで、自社のデジタルトランスフォーメーション、
ポートフォリオの最適化、業務効率化を進めます。このソリューションは、ハードウェア、
ソフトウェア、サービスを組み合わせたもので、柔軟なワークフォースソリューションを
生み出すプラットフォームを提供します。


5月11日、SAPとGoogle Cloudは、両社のパートナーシップを拡大し、データランドスケープを
シンプル化しながら、ビジネスデータの活用を広げる包括的なオープンデータオファリングを
提供すると発表しました。



同日、SAPはまた、SAP SEの年次株主総会において、パニー・レンジェン(Punit Renjen)名誉博士が
スーパー・バイザリー・ボードの新メンバーに選出され、ハッソ・プラットナー(Hasso Plattner)工学博士の
後任としてスーパー・バイザリー・ボードの会長に指名されたことを発表しました。また、
ジェニファー・リ(Jennifer Li)とチー・ルー(Qi Lu)博士がスーパー・バイザリー・ボードの
メンバーに再選されました。年次株主総会では、エグゼクティブボードとスーパー・バイザリー・ボードの
その他の議案もすべて承認されました。これには、株主の意見に基づく改定を盛り込んだ
エグゼクティブ・ボード・メンバーの報酬制度や、自己株式の買い戻しの承認などが含まれています。
さらに、2022年度の1株当たり2.05ユーロの配当案も承認されました。

5月15日、SAPはマイクロソフトとの長年にわたるパートナーシップをさらに次のステップへと
進めることを発表しました。これにより、SAPは、エンタープライズ対応の最新の
生成AIイノベーションを活用して、顧客が抱える重要なビジネス課題の解決を支援します。
両社はそのパートナーシップの拡大により、SAP(R) SuccessFactors(R)ソリューションと、

Microsoft 365 CopilotおよびCopilot in Viva Learningとの統合、さらに自然言語を
分析・生成する強力な言語モデルを利用するためのマイクロソフトのAzure OpenAI Serviceとの
統合も進める予定です。

5月16日、SAPは、50億ユーロを上限とする新たな自社株買いプログラムを発表しました。
このプログラムは2023年下半期に開始され、2025年末までに完全実行される予定です。


SAP、ビジネス人工知能(AI)のビジョンを推進


5月2日、SAPとIBMは、IBM Watson(R)テクノロジーをSAPの幅広いソリューションに
組み込むことを発表しました。これにより、SAPは、AIを活用した新たなインサイトの
提供および自動化を実現することで、SAPのアプリケーションポートフォリオ全体で
イノベーションを加速させ、より効率的かつ効果的なユーザーエクスペリエンスを
創出できる体制を整えます。

7月11日、Sapphire Venturesは、AIを活用したエンタープライズ・テクノロジー・スタートアップ
(生成AIに特化した企業を含む)に対して10億米ドル以上を投資することで、AIへの
コミットメントをさらに深めることを発表しました。このコミットメントは、
エンタープライズAIスタートアップへの投資とスケーリングを進めてきたSapphireの
歴史に基づくもので、今後も、基盤モデル、イネーブラーやミドルウェア、次世代
AIアプリケーションを含む、新しいAI技術スタックの全領域に焦点を当てていく予定です。



7月18日、SAPは生成AIのリーディングカンパニー3社への戦略的直接投資により、
高い関連性と信頼性を備えた、責任あるSAP Business AIを提供するという
コミットメントにおいて次なるステップに進むことを発表しました。Aleph Alpha、
Anthropic、Cohereへの投資は、SAPのポートフォリオ全体にAIを組み込むために
最高のテクノロジーを活用するという、AIへのSAPのオープンエコシステムアプローチを
強化するものです。これは、5月に発表された一連のAIパートナーシップと
企業ユースケースに基づくもので、前述のSapphire Venturesのコミットメントを
補完するものになります。

2023年度通年の見通し


財務見通し


2023年度について、SAPは売上と営業利益の見通しを以下のとおり更新します。

  • クラウド売上は、固定通貨換算ベースで140億~142億ユーロ(2022年度 = 114億3,000万ユーロ)、
  固定通貨換算ベースで23%~24%増となる見込みです。レンジを2億ユーロ分狭めました。
  前回の報告では、固定通貨換算ベースで140億~144億ユーロとしていました。
・ クラウドおよびソフトウェアの売上は、固定通貨換算ベースで270億~274億ユーロ
 (2022年度 = 253億9,000万ユーロ)、固定通貨換算ベースで6%~8%増となる見込みです。
  前回の報告では、固定通貨換算ベースで269億~274億ユーロとしていました。
  •  営業利益は、Non-IFRSの固定通貨換算ベースで86億5,000万~89億5,000万ユーロ
 (2022年度 = 79億9,000万ユーロ)、固定通貨換算ベースで8%~12%増となる見込みです。
  営業利益の見通しを5,000万ユーロ上方修正しています。前回の報告では、固定通貨換算ベースで
  86億~89億ユーロとしていました。


SAPは引き続き次のように予想しています。



  • 予測性の高い売上の比率が約82%(2022年度 = 79%)。これは、総売上に対する
  クラウド売上とソフトウェアサポート売上の合計の比率になります。
  • フリーキャッシュフローは、約49億ユーロ(2022年度 = 44億ユーロ)。
  • 実効税率は、IFRSベースで28.0%~32.0%(2022年度 = 32.0%)、
    Non-IFRSベースで 26.0%~28.0%(2022年度 = 29.6%)。

財務以外の見通し

SAPは、引き続き「お客様のロイヤルリティ」、「従業員のエンゲージメント」
および「二酸化炭素排出量」の3つの非財務指標に注力しています。
2023年について、SAPは引き続き次のように予想しています。

  • 顧客ネット・プロモーター・スコアで8~12。
  • 従業員エンゲージメント指数で76%~80%
  • 二酸化炭素のネット排出量で0キロトン、すなわち自社の事業において
  カーボンニュートラルを実現。




2025年度目標



SAPは、その力強い事業の勢いとQualtricsの売却を反映させることで、
2023年5月16日、中期目標を更新し、その見通しを次のように示しました。

  • クラウド売上215億ユーロ以上
  • 総売上375億ユーロ以上
  • Non-IFRSベースのクラウド売上総利益、約163億ユーロ

  • Non-IFRSベースの営業利益、約115億ユーロ
・ 予測性の高い売上の比率、約86%

  • フリーキャッシュフロー、約75億ユーロ



2025年目標は、1ユーロ=1.10米ドルの為替レートを前提としています。

追加情報

本プレスリリースおよびそこに含まれるすべての情報は予備的であり未監査です。

SAPの業績指標
当社の主要な成長指標と業績指標、その算出方法、その有用性、および
その限界に関する詳細については、当社のInvestor RelationsのWebサイト
をご覧ください。



以上



SAPについて
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